けれど、皐月くんは小さくため息をついて、ぎこちない動作で私の隣まで来ると、
私と同じように壁にもたれかかって、
「……それ」
と、言ってきた。
疑問に思って、首をかしげると、皐月くんは私の来ている制服をさして、
「なんでそんなの着てんの」
「学園祭の衣装なんだ」
「……ふぅん」
皐月くんはそういうと、私からさりげなく視線を外して───唇をかみしめる。
その表情を、私は知っている。
何かを諦めるしかなくて、でも諦めたくなくて。
誰よりも傷ついているのに、誰よりも辛いはずなのにそれをすべて飲み込んで───それでも、なお笑おうとする、
あの日、泣きじゃくる私にただ謝り続けた、お父さんと同じ表情。



