「……さん、白井さん」
後ろから呼びかけられて、はっと私は我に返った。
見上げると、水瀬くんが心配そうに私を見上げている。
周りを見渡すと、衣装合わせやら、メニューの試作品作りに盛り上がっているクラスメイトがいる。
今日は、5時間目と6時間目をつぶして、学園祭の準備に入っている途中だった。
もともとこの学校はかなり広いし、他の学校より一足先に学園祭をするので、準備期間も長いし。
一般公開もしているからかなり盛大になる。
テスト週間ともかぶってしまうけれど、みんながみんな楽しそうにやっているのを見て、
いつもの私なら、うれしくなるんだろうけれど……そんな余裕が、今はなかった。
「大丈夫?なんか、ぼーっとしてるみたいだったけど」
「……何でもないよ」
私が小さく首を振ると、水瀬くんは疑わしげに眉をひそめて───
「もしかして、御影くんと何かあった?」
「……別にないですよ」
「その図星をつかれると露骨に敬語になる癖、分かりやすいからやめた方がいいよ」
「……水瀬くん、意地悪」
「知らなかった?俺、もともと意地悪な奴だよ」



