ゆりの傷ついた顔を、見た瞬間ぐっさりと心を突き抜けるような痛みが走る。
それを、見たくなくて。
俺はばっとゆりから顔をそらして、無言でリビングを後にした。
卑怯なやつ、ゆりを傷つけて。
そのくせに、自分が傷つくのを恐れてる。
階段を上って、自分の部屋のドアを乱暴に開けた。
そして、そのまま閉じたドアに身を預ける。
ずるずる、体の力が抜けて───ついには、しゃがみこんでしまう。
「……」
ぐるぐる、ぐるぐる、もう自分が何を考えているのかわからないほど、頭のなかがぐちゃぐちゃだ。
渡したくない、ゆりは───アイツなんかに。
「……もうっ……訳が分かんねぇ……」
心が、ちぎれそうに痛い。
頭を抱えて、唇をかみしめるたび鉄の味がして───それは、あのミナセクンとゆりの体が重なったときのことが思い浮かんで。



