やばい、可愛すぎ。



むすっとしながら、腕を組んでいた俺にツンツン、と腕をつついてくる奴が、ひとり。

言うまでもなく、高梨。



「……なに」


俺が振り向きもせずに、そういうと高梨は自ら身を乗り出して俺の顔を覗き込んできた。……きもっ。


「うわっ皐月がヤキモチやいてるっ本当にあの皐月!?」


「うっさい、黙って勉強でもしてろ」


「ははぁ~ん。あんなに他人に無関心だった皐月がねぇ」


うんうん頷きながら、にやにやし始める……うざ。うざ。


けれど、俺は返す言葉もなくちらりと一瞥して、そのまま教科書に視線をうつす。こんな奴に構っているだけ、時間の無駄だ。



「確かに白百合姫は、可愛いって口にするのがおこがましいほど綺麗な人だし、
 
 頭いいし、運動神経もいいし、面倒見もいいしな……皐月の」


「なっ……別に俺は、アイツに面倒見てもらったことなんてないけど」


しまった、高梨のくせに乗せられた。

その一部始終を見ていた、コナツチャンが、目を細めながら、


「どうでもいいけど、御影くんほっといていいの?」


と、言ってきた。