思わず、口が滑ってしまった。
普段なら、こんことでぼろを出す俺じゃないのに。
……絶対、ゆりのせいだ。
俺は握った手をゆっくりと離して、視線を逸らさないでこっちを見てくる水瀬くんに返すの面倒で、
「さあ、なんでだと思う?」
と、適当に言うと、
水瀬くんは予想以上に癪に障ったらしく、目を細めながら俺のほうを睨みつける。
「み、水瀬くんさ、ノートっノート取りに行こう?」
「……」
ゆりが気を利かせて、水瀬くんの服の袖を引っ張る。
……ムカつく。
ゆりが、誰かほかの男のコトを呼ぶのも、服をひっぱることだって、嫌。
……やばい、俺前の一件から、かなり歯止め効かなくなってる。
ゆりが、好きすぎて……それでいて、この曖昧な関係に、いらだちさえ覚えている。
「皐月くんたちは、勉強しててくれる?
取ってくるから」
ゆりはそういうと、不機嫌顔の水瀬くんを連れてリビングから出て行ってしまった。



