「あー面白い」

「えっ」

「何でもないよ」


今水瀬くんの口から、かなりどす黒い声が聞こえたような気が。


けれど、もう一度見たときにはいつもと変わらない爽やかな笑みを浮かべている。


促されるように、教室に入って席に着いた。


そのあと、鐘の音ともに担任の先生が入ってきたかと思うと、今日の連絡を言い始める。


それをぼーっと聞き流しながら、私は思い出す。


……私、本当に皐月くんに……こ、こ告白されたんだよね。


でも、皐月くんいつもポーカーフェイスで、全然表情が変わらないし……。


もしかして、あれはあの場の冗談とか?


いや、さすがに皐月くんでもそれは……ありえる。


ますます頭の中が、ぐちゃぐちゃになりそうで私はくっと眉に皺を寄せて、先生のほうを睨みつけた。


今は忘れようっ、もうすぐテストだし浮かれているわけにはいかないっ。