運動部が掛け声を上げながら、運動場を走っているのを、 がんばれーと、窓から横目で眺めがら─── ふと、足が止まる。 「んあ? どうした、皐月」 「あー、高梨」 「ん?」 俺は、肩に下げていた鞄をひょいっと、高梨に投げつけた。 「ふぎゃっ……い、痛っ、ちょ、なんの嫌がらせだよこれ!」 ちょうど顔面にあたってしまったらしく、鼻を押さえながら高梨が俺を睨みつける。 「ちょっと持ってて」 「は!?」 俺は、そう吐き捨てると、 後ろから呼びかける高梨を無視して走り始めた───