何も言う間もなく、ゆりはばっと俺から離れると、 「勇気、でそう?」 真っ赤になりながら、唇をかみしめてそういってくる。 ……やばい、やばい、やばい。 不意打ち、だ。これ。 ……あーやばい。 何も言えないまま、動揺する情けない自分にゆりはさらに追い打ちをかける。 「……頑張ってね、皐月くん」 ふわり、と優しげに口元をゆるませて───さらりと伸びる黒髪が、優しいあの石鹸の香りを漂わせながら、揺れる。 「……ん」 俺が小さく頷くと、ゆりは小さく手を振る。 そして、一歩踏み出して───