「じゃ、病人は大人しく寝てますね」 ひらり、と手を振って足をすすめた、そのとき。 くっと、服を後ろから引っ張られる。 なんだ、と思って後ろを振り返ると───ゆりが、真っ赤な顔で俺を見上げて、言う。 「……あんまり心配、させないで。……皐月くんのばか」 ……ちょ。 ゆりは、言った後ううと、小さく恥ずかしそうにうなった後───呼び止めることもできないほどの、スピードで階段を下りて行ってしまった。 ……いや、たぶん今俺、呼び止めることは……無理だったかも。