ゆりは、そんな俺のことを精一杯に抱きしめて、言うのだ。
「───私は、ここにいるよ。
ずっと、皐月くんの隣にいるよ」
その日、俺はずっとゆりの胸の中で泣いてきた。
朝、起きると俺の体には布団が掛けられていた。
ぼーっとした頭を掻きながら、時計を見上げると時計はもう6時を指している。
あれ……俺、あの後。
ぐらぐらする頭で、記憶をたどっていく───そして、昨日の暗がりでのできごとをはっと思い出して───俺は思わず立ち上がって、周りを見渡した。
ゆりが、いない。
すっと血の気が引いたような気がした。もしかして───、俺が嫌いになって消えてしまったのではないか、と。
ドン!と勢いよくドアを開けて、あわただしく階段を下りる。
そして───
「あ、おはよう皐月くん」
リビングのドアを開けると、フライパンを片手に笑顔であいさつする、ゆりがそこにはいた。



