「……皐月くんは、お母さんに会いたい?」
ゆりは、囁くような声で言う。
……たい。
ずっと、ずっと……本当は。
たとえ、自分の名前を呼んでくれなくたって。
たとえ、昔のように優しく頭を撫でてくれなくなって。
本当は、逢いたかった。
ずっと、ずっと、逢いたかった。
ちょっとでもいい、顔を見たかった。話しかけてみたかった。
けれど、強くなくて。俺は、あんまりにも弱くて。勇気も、なくて。
「……皐月くんがいるって言うなら、いつだって私は勇気をあげるよ。
どんなに逃げたくなって、弱いって嘆いても私は、皐月くんのそばにいる。
私は、皐月くんのこと絶対に忘れたりしないよ」
「───」
ずきんと、心の奥に突き刺さる。触れるゆりの温かさは、凍った俺の心を溶かしてく。
「……たい、逢いたいっ……お母さんに、逢いたいっ……」
「うん」
「でも……っ怖くてっ……怖い、んだ……」
ほろほろと、流れていく涙が止められない。
どうして、こんなに泣けてしまうのかってくらいに。



