「私、後悔してほしくない。
皐月くんに私みたいに、後悔してほくないっ……!」
「……」
父親の背中を見送ることしかできなった、ゆり。
けれど───ゆりには、もうその後悔を無くすすべが、ない。
でも───俺には、まだ……ある。
ゆりは、そういっているように聞こえた。
「辛いなら、私がずっとそばにいるよ。
苦しいなら、痛みが消えるまで手を握ってる。
怖いなら、震えが収まるまで抱きしめるよ。
だから……もう一度、後悔しないように、逃げないで前を向いて」
「───っ」
ずっと、言ってほしかった。
その言葉を、ずっと誰かに言ってほしかった。
誰かに裏切られるのが怖くて、忘れられるのが怖くて───でも、それと同じくらい誰かのぬくもりに触れていたかった。
誰かの肩に寄りかかっていたかったんだ。



