想像する。
小さくなっていく背中をただ、見ることしかできなかったゆり。
その震える小さなゆりの横顔は───あまりに、自分と似すぎていて。
「わたし、ね……たくさん、たくさん、たくさん……後悔した。
どうして、あの時あんなこと言ったんだろうって。
どうして、あの時遠ざかっていくお父さんの背中にしがみついてでも、引き留めなかったんだろうって。
たくさん、後悔して、後悔して、後悔して……。
胸が、何度も締め付けられて……痛くて、痛くて、でもどうしようもなくて」
───なんで、逃げたんだろう。
───あの時、なんで逃げてしまったんだろう。
自分の、後悔がゆりの手を伝って伝わってくる。
後悔した、後悔した、後悔した。
たくさん───後悔して、痛くてしょうがなくて。
お母さんに、皐月って呼んでほしかったのに。ただ、それだけだったのに。
「ねえ、皐月くん」
「……っ」
ゆりは、俺の顔を見ながら泣きそうになる寸前のくせに、それでも気丈に口元を微笑ませながら、言った。



