「……どうして、そんなことしたわけ?
同情して、可哀そうになって、だからそんなことオネガイしてさ。とんだ、自己犠牲だね」
「……」
ゆりは、ずっと黙っていた。
ずっと黙ったまま、唇をかみしめて瞳にたまる涙を必死にこらえたまま。
その表情に、胸を引っ掻き回されたみたいに痛くなって。
同じくらい、自分の弱さを見せつけられた気がして───顔がかあっと赤くなる、頭に血が上っていく。
「誰がそんなこと頼んだの?
余計なお世話なんだよ……っ」
「……くんは」
思わず下を向いて言葉を吐き出したとき。
ゆりは、小さく呟いた。その声は、震えて壊れてしまいそうなほど脆いはずなのに、芯が通ったような───強さを持っていた。
「……皐月くんは、本当にもう……お母さんに会いたくないの……?」
「───っ!」



