「じゃあ、なんで会ったの?
ああ違うかな。もう、それはいいや。
あいつに、なんて言ったの?
思い出してあげて?
それとも、可哀そうだから少しだけでも話を合わせてとか?」
違う。
違う、そんなことが言いたいんじゃない。
こんなゆりを傷つけることを、皮肉めいたことを言いたいわけじゃない。
けれど、俺から出てくる言葉はゆりを傷つけていく。深く、深く。
ゆりは、一度言葉を詰まらせたようにひるんだけれど、震える手をぎゅっと握って───言った。
「……一度だけでいいから、
皐月くんのことをちゃんと見てほしいって。
私は何も言えないから、皐月くんに聞いてほしいって……言ったよ」
ゆりらしいな、と思った。
人のために───たとえば俺のために、怖いのを押し込めてまっすぐ瞳を見る強さも。
優しすぎるくらいに、思ってくれる気持ちも。
───全部、俺になくて───そして、必要だったもの。



