「で?
それで、同情でもしたの?
俺が可愛そうになった?
だから、こんな───あいつの連絡先までご丁寧に書いてもらったの?」
すっと俺は、その紙を前に差し出した。
そう、そこに書かれていたのは───御影、八千代の名前と連絡先だった。
あの頃と変わらない、端正で綺麗な母の字は見るたびに、ずきんと心に杭を打たれているような痛みが走った。
「……勝手に会ったのは謝るよ」
「へえ、随分素直だね。
もしかして、それも皐月くんのため、とか言うのかと思った」
違う、こんなことが言いたいわけじゃないのに。
こんなゆりを責めるようなことが、言いたいわけじゃないのに。
それなのに、俺は思ってもいない言葉をすらすらと口から出してしまう。



