「……ねえ、ゆり」 「ん?」 呼ぶと、さらりと黒髪が揺れる。 何を言うわけでもないのに、呼んでしまったことに気付いて、 「……何でもない」 「変なの」 くすっとゆりが笑うのをよそに、俺は寝返りをうって壁に視線を向ける。 ……寂しいとか、あほなこと考えてる。 おかしい、おかしい。 いつもなら、前の俺ならこんなこと思わなかったのに。 いつも一人だったから……どんなことでも、どんな時でも一人でいたって全然平気だったのに。 「……熱のせいだ」 「へ?」 「……別に」