ごみ箱から、さっき俺が捨てたクッキーを取り出すと、 ラッピングについたほこりを払って、 すたすた俺の前に歩いてきて、 「貰ったなら、最後まで食べてあげるのが道理だと思います」 ずん、と俺の前にそれを差し出した。 「……別に、俺は、」 「素直に貰わないなら、その口に突っ込みますよ」 視線を逸らすことなく、まっすぐと俺を見つめ返してくる。 「……」 不思議だった。 だって、他のやつはこんなに俺をまっすぐ見つめられるやつなんて、いないのに。