少しだけ時間をいただけないかしら。
と、彼女───御影八千代さんは、言った。
私は少しだけ携帯で時間を確認した後、頷くと近くのカフェへ案内された。
ゆったりと優しげな音楽の流れている、ステンドガラスで吹き抜けるおしゃれな窓。
けれどそれを可愛いと思う余裕は、私にはなかった。
目の前に座って、目を伏せながらブラックコーヒーを飲む姿は、確かに皐月くんに似ている。
「いいのよ、ここは私のおごりよ」
「あ、はい……ありがとうございます……っあつ」
「大丈夫?お水いる?」
「……だ、ダイジョウブです」
慌ててカフェオレを飲んでしまったせいで、舌を火傷してしまった。
顔をしかめながら、ゆっくりカップをお皿の上に戻して、
「私もお話があったんです、八千代さん」
と、話を切り出した。



