学校が終わったあと、私はあわてて教室を出た。
本当は、水瀬くんにお礼を言うべきだったんだろうけれど、もう私の頭はパンク状態。
靴を履き替えて、校門を出る。
ええっと、今から翔太を迎えに行って、それからスーパーで氷とゼリーと。
頭の中で、手順を思い浮かべながら走っていた、そのとき。
「……あ」
思わず、止まってしまった。
向こうも私に気付いたのか、あら、と小さくつぶやいてゆっくり頭を下げている。
無意識に、きゅっと鞄のひもを握りしめてしまっていた。
私もぎこちなく、頭を下げると───言った。
「……こんにちは、八千代さん」



