「───で、何の用?」
ようなんてわかりきってるはずなのに、俺の口から出るのは意地悪な言葉。
呼び出された、特別館の一室で───もじもじと、顔を赤らめるそいつを見下ろした。
名前も知らない、そいつは、くっと息を止めて───それから、
ばっと、背中に隠していたものを俺の前に差し出した。
「あ、の、良かったら受け取ってください!」
手作りのクッキーだった。
綺麗にラッピングされていて、俺のために頑張ったんだなぁーとか。
そんなことは、全然思わなかった。
すうっと冷めていくような、心から冷めていくような。



