「───あ、の御影くん」 か細い声が、聞こえた。 教室で弁当を食べて、談笑していたクラスメートや俺達も一斉に教室のドアを見る。 そこに立っていたのは、恥ずかしそうに顔を赤に染めながら、 ちらちら、俺のほうを見てくる、知らない女子生徒。 居心地の悪い視線を浴びながら、俺は教室のドアへ向かう。 恥ずかしそうに顔を伏せたままのそいつに、 「何」 というと、 「……ちょっと……きて、くれますか」 大体わかってる。 だから、俺は淡々と頷いて───彼女の後ろを歩き始めた。