「大体、ゆりは無頓着すぎ」
「私がいつ無頓着だった?」
「加えて鈍感」
「ぁうっな、何するのっ」
皐月くんが無表情で、去年の見本の栞を私の頭へと叩いてくる。
「うー……っ皐月くんどうして怒ってるの?」
「分からない?」
ぽんぽん、さっきから私の頭をたたく手は止まらないまま。
皐月くんはいつも表情を隠すから、分かるわけがないでしょうっ。
と、言いそうになって、けれどきっとまた皐月くんにからかわれることは、間違いない。
「……さ、皐月くんはいつだって、そうやっていじわるする……」
考えたら、私意地悪されたりからかわれてばかり。
皐月くんはちっとも自分のことを話そうだなんてしないし、私ばっかりが情けないところを見られている気がして、ますます情けなくなる。



