「あー……じゃあもう、……じゃんけんでお願いします」
と、適当に言ってしまったのだった。
***
「あんまり周りの視線を集めることは、やめて」
「あれは、あっちが悪いからヤダ」
私の教室で、不機嫌そうにむすっと椅子に座っている皐月くん。
そう、結局じゃんけんに勝ったのは、皐月くんだった。
決まった後、移動するときも終始皐月くんも水瀬くんも不機嫌なまま。
「それは理由になってません」
「……別に、それとこれとは、」
「もうしないって言わないと、夕ご飯作らないよ」
「……」
皐月くんはむうと、口を尖らせて眉をひそめた後、はいはい、と返事をして、
机に置いてある白紙の紙に枠を書き始める。



