水瀬くんはすぐにいつもの表情に戻ると、私にプリントを手渡してくれる。 それをじっと見ながら、足を進めようとしたそのとき。 「───〝また帰り〟にな、ゆり」 後ろから皐月くんが、そう呼びかける声がした。 …………んん?またって……? 不思議に思って、振り返ると皐月くんが愉快そうに目を細めながら、笑っているのが見えた。 あれ、なんか嫌な予感がする。 そして、その予感はまんまと的中した。