机に乗ったパンに手を伸ばして、ちぎりながら食べていると、
「ほんと、お前って他人に興味がないよなー」
半ばあきれたような声で、高梨がそういう。
む。
どんな理由にしろ、高梨に馬鹿にされるのは癪だ。
「うっさいな、別に知ってて得するわけでもないのに」
「その無関心はよくないって言ってるんだよ。白百合姫にしたって」
「説教?お前は俺の母親かよ」
携帯から顔を上げて、文句を言うと───思いのほか真剣な顔をした高梨が、そこにはいた。
思わず、息が詰まりそうになる。
「お前の母親は───八千代さんだろ」
と、高梨は言った。



