「く、苦しそうだけど離してあげたほうが……」
「大丈夫」
「すごい皐月くんの手たたいてるけど……」
「大丈夫だから」
皐月くんは冷めた目で、高梨くんの耳元に口を持っていくと、
「黙らないと、死なすよ」
と小さく囁いていた。
……何というか、皐月くんは高梨くん相手になるとキャラ変わるよね。
新鮮で面白いから、見ていたくなる……なんて。
しばらくそんなやりとりをしていると、
「白井さん、持ってきたよ」
職員室のドアから爽やかな声が聞こえて───その声が聞こえた途端に、皐月くんの顔が険しくなる。
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