「じょ、冗談でしょうっ離れて」


「あーほら前、向いて……?

 皿落としたら、危ないよ」



で、できるわけないっ。

一気に上がる耳の熱さを上昇させるように、御影くんはくすりと怪しげに笑いながら、


「こんなことで赤くなっちゃ、だめだよ。


 こんなの、まだまだ序の口」



「じょっ」


序の口、これがっ!?

思わず横を向いて、言い返そうと振り返るともう御影くんは私から離れて、

楽しそうに笑っているのが見えた。


意地悪な、どうしてやろうとでも言っているような好戦的な瞳。



「楽しみにしてて」



楽しみになんて、全然できなかった。