「───考えたんだけど、ゆりの男性恐怖症は並みのことをしていても治らないと思う」
「……どういうこと?」
ご飯を食べ終わって、翔太が歯磨きをしている間私は、食器を洗っていた。
おそらく後ろでのんびり座っているだろう、皐月くんは、
「だから、ある種のショック療法をしてみればいいんじゃないってハナシ」
とても嫌な予感しかしなかった。
私は曖昧に返事をすることしかできず、そして遠慮気味に聞いてみる。
「たとえば、どんな」
「たとえば?んー」
悩む、というよりも面白そうにからかうような声。
そして───
「こんなこと?」
いきなり、耳元で低く囁く声が、した。