「───悪いけど……っ、 その役目は俺が先約だから、諦めてくれる?」 いきなり、水瀬くんとは反対側の手を引っ張られたかと思うと、 すっと、あの不器用で意地悪な───御影くんの、声がした。 目の前まで引き寄せられた、彼の服から少しだけ汗ばんだ匂いと、あの優しい香りがする。 「っ……なんで御影く、」 「お前は黙ってろ……っ」 御影くんが私の腕を強く握りしめたまま、肩を上下させて───そして、言った。 「悪いけど───こいつは、渡さないから。絶対に」