しばらく話し合っていると、校門のほうからざわめく声が聞こえる。
うざいほどに俺を見ていた女子どもは、あっと小さく声を漏らして、
窓から校門を見始める。
「───あ、皐月〝白百合姫〟じゃない?」
シラユリヒメ?
知らない単語に、目を細めながら俺も高梨につられてちらり、と校門のほうを見る。
人だかりばかりで、目を凝らしてもなかなか見えない。
……ま、別にいいや興味ないし。
「やー相変わらず、女子にも男子にも人気だな」
「そのシラユリヒメって誰なワケ?有名人?」
何気なく、そう聞くと───高梨は一度立ち止まる。
「何、いきなり立ち止まって」



