むっとした顔で、いじける幼稚園児に少しだけ笑いがこみあげてくる。
きっと、笑ったら怒るんだろうけど。
そいつは最後の一口を食べ終えると、近くにあった時計に視線をあげて、
「あっもうおねーちゃんが迎えにくる時間だ」
と、ベンチから飛び降りて、アイスのごみを隣にあったゴミ箱に放り込むと、
「じゃーなーサツキ!」
踵を返してさっさと立ち去ったかと思うと、いきなりくるりと振りかえって、言った。
「アイスありがとー!おいしかったー!」
「はいはい」
「また遊んでやってもいいからなー!じゃーなーサツキぶうぅうううん!」
エアハンドルをもった幼稚園児は、エンジン全開で運転しながら去って行ってしまった。
ふと、時計を見上げるともう5時を指し始めていることに気付く。
「帰るか」
荷物の支度もしなくちゃなんねーし。



