まだ少し痛む頭を押さえながら、ゆっくり息を吸う。
思い出すな、忘れろ、忘れろ、なかったことにしてしまえばいい。
しばらく深呼吸をして落ち着いたところで、下から見上げる視線に気づいた。
心配そうに見上げていたそいつの頭を、控えめに撫でてやると、
気持ちよさそうに目を細めながら、にこにこ笑うのだ。
「きょうはねーおねーちゃん、がっこーでいそがしいんだって。
おねーちゃんは、とってもたよりになる人なんだよ。べんきょうだって、うんどうだって、おりょうりだって、できるんだ。
おねーちゃんがいいこにまってるんだよ、っていったからぼくまってるんだ」
「そ、……えらいな」
「ふふーん!ぼくはもうおとなだからね!」
「さっきおねーちゃんって泣いてたくせに?」
「も、もうそれは言わないで!」



