はあ、おかしい。
絶対、今。
俺は───おかしい。
どっからおかしくなった?
もんもんと頭の中で考えながら、自動販売機を目指す。
通るたび、きゃあっとうるさい、耳障りな声を上げながらじろじろ見てくるうっとしい視線に、ますますイライラさせられる。
いや、分かってる。これは───白井、ゆりアイツのせいだ。
ふっと頭の中で白井の顔が思い浮かぶと、連鎖的に昨日の風呂場での、タオル一枚の白井の姿が思い浮かんでしまう。
普段なら、こんなことで。
こんなことで───、こんな、こんな顔が熱くなることなんて、ないのに。
違う、違う、違う。これは───そんな、そんなんじゃない。