こくり、と私が頷くと満足そうにうんうん、と頷いたと思ったら、


「ついでにお弁当も渡してきなよ」


───さらり、と笑顔で私の机の横にかけられたお弁当箱袋を指さして、言った。



「ぇっ、な、にゃんでそれをっ!」


思わず立ち上がってしまいそうになったのを、慌てて押さえる。

不意打ちすぎて、思いっきり噛んでしまった。……うう。


「あは、にゃんでって可愛いなぁーにゃんでだと思うー?

 それは私がゆりのことならにゃんでも知ってる、親友ですからにゃぁー」


「ひ、人とが噛んだことをひっぱらないで……っ」


小夏ちゃんはまるで、御影くんのように意地悪そうに笑いながら、


「ふふふん。

 ゆりのことだから、昨日の昼に渡しそびれちゃったんじゃないかなぁと思ってね。

 なんだかんだ理由をつけて持ってこうと思って、御影くんがすでにパンでも買っていて出鼻をくじかれちゃった……みたいな?」