え、と口にする前に───あれ、そういえば御影くんは?


と、タオルに手を伸ばす翔太に聞こうとしたそのとき。


「オイガキ、せめて濡れた鞄は玄関に置けっての」



近くで、御影くんの声が、した。


まさか、と全身がさながらたこのように真っ赤になりかけて───私は、固まった。




目の前に、いた。


私と同じように驚いた顔で、目を見開く───御影くんが。



一気に、お風呂で温かくなっていたはずの私の体の体温が、かああああああっと上がり始める。


なっ、なっ、なっ…………!