玄関にしっかり鍵を閉めて、私は脱衣所でぐっしょりに濡れた制服のシャツと、スカート、下着を脱いで洗濯籠の中に入れる。
───ガチャ。
お風呂のドアを開けると、温かな蒸気が体にまとわりつく。
お湯をはった浴槽にゆっくりと足から入れて、
「ふぅ……」
小さくため息をつきながら、体の力を抜く。
じいっと水滴ができ始める、天井を見上げながら───私は、今日の日のことを思い出す。
……いきなり教室に行ってしまったから、御影くん、怒ってるかな……。
それに───結局、渡せなかった。
「……私のいくじなし」
下を向くと、張ったお湯からゆらゆらゆれる自分の顔が映る。
それはあまりに情けなくて。



