濡れた傘を玄関の軒先で、振って雫を払い落として畳んだ後、
家のドアを開けると───ガチャ、と音がする。
「サツキー?」
「まだ白井は帰ってないみたい」
俺は、渡されていた鍵をポケットから取り出して、鍵を開ける。
ドアを開けると、真っ暗な廊下が続いている。
「たっだいまー濡れたータオルたおるぅー」
と、濡れた服のまま、を脱いで上がって行ってしまった翔太の後を、
「オイガキ、せめて濡れた鞄は玄関に置けっての」
濡れたスクールバックを玄関に置いて、そのあとを追う。
そして先にお風呂場をドアを開けた、翔太の後から続いて───
───固まった。



