自分よりも2回りほど小さな体が、すっと傘の中に割り込んでくる。
そのことが、とても不思議だった。
今自分がこうしていることが。……変なの。
このくすぐったさは、きっとどれだけたっても消えない。
「うー」
いきなり下のほうからうめき声が聞こえて、下を向くと、
「サツキ歩くのはやいー」
口を尖らせながら、じっと見上げてくる小さな顔。
「……はいはい」
今度は普段歩いているスピードじゃなくて、ゆっくりと翔太の歩くスピードに合わせてやる。
そうすると、うれしそうに口を綻ばせながら今度は、
「んー!」
と、俺のほうに小さな手のひらを向けてきた。



