「サツキ遅いー!」
結局、学校が終わるころには雷がゴロゴロと、遠くのほうからなるほど大雨だった。
仕方なく遠回りして、コンビニで透明のビニール傘を買って、
幼稚園までやってくると、保育士の女の人とすぐ近くの玄関で待ち構えていた。
「サツキ、じゃなくてサツキお兄ちゃんと呼べガキ」
「ガキじゃなくってーしょうただもん、サツキー」
「……はいはい」
いい加減慣れたこのやり取りを、くすくす面白そうに笑っていた保育士の人に、
あいさつをした後───俺たちは幼稚園を後にした。
「お前傘は?」
「ないー」
「はー……しょうがないからさっさと入れば」
「ういーさんくすさんくすさんくすいれぶん」
「……それは二つのコンビニから抗議が来そうなあいさつの仕方だな」



