「で、なんか用があったんじゃないの」
俺は、顔をそむけたままそっけなく、白井に聞いてしまう。
ああくそっ、俺らしくない。
こんなことで、揺らぐほどウブな奴じゃねーだろ、俺。
「あの、」
と口を開いて───彼女の視線が、すっと俺からずれるのがわかった。
ちらりと横目に、白井の視線を追うとそれは、俺の机の上に置かれたコンビニパンだった。
「……これがどうかした?」
そう聞くと、白井はあわてたように片手をぶんぶん振って、
「な、何でもないっ」
「何でもないのにわざわざ俺のクラスまで?」
確か白井は2組だった気がする。
俺のクラスは8組だし、かなり遠い気がするんだけど。



