「オマエ、いいの? 迷子なんじゃね―の」 「ま、迷子じゃない」 迷子だっただろ。 思わずつっこみたくなるけれど、さっきまでまったく動じてすらいなかった幼稚園児が 瞳を思いっきり揺らがせているので、言いにくくなってしまった。 「おねーちゃん、おねーちゃんて言ってたくせに」 「っい、いってないよ!」 「はいはい」 顎に手を添えながら、ジト目で幼稚園児を見下げながら軽くあしらう。 しばらく、幼稚園児は言葉を詰まらせた後、 食べていたアイスを両手で持ったまま、膝の上において視線を落とした。