ごめん、そう謝ろうと顔を上げて───俺は、固まる。
「くすくす……二人は仲がいいんだね」
そういいながら、頬を桜色に染めて、安心したように口をほころばせて笑う、白井。
どきん、と大きく心臓が跳ねるような音が聞こえた。
けれど、それを。
その甘くてしびれるような感情に、気づきたくなくて。
意地悪で、性格の悪い俺は誤魔化して、しまいたくて。
───バシンっ!
「いたっ!何すんだよ、皐月!」
「…………別に」
誤魔化しに、隣でたぶん俺と同じように顔を赤くしているだろう、
高梨の頭をひっぱたいて、そのままふいっと顔をそむける。
……違う、これは。
気のせい。



