ぶわっ………
校内の桜が風に煽られて散る

「……!?」
なっ、何…今の…一瞬だったけど自分の
体が可笑しくなった。
意識と切り離されるような……


私の横を横切った何か…
私は、急いで後ろを振り向いた。


……そこには、この学園の制服を着た
男子生徒だった。



ネクタイの色から見るとわたし達と同じ
一年生だろう……。


後ろ姿だけだったとはいえ
私は、不思議と目が離せなくなっていた。



「……り……ち…燐音ちゃん!」



「……あっ何?和子」
暫く魅入っていた私は、我に返った。
しかし、目を逸らすことが出来なかった。


「……っもう!!一体どうしたの?」
私の視線に気がついたのか、和子も
彼の背中を見た。


「へぇ〜、ふぅ〜ん、なるほどねぇ」
何かを思いついたかのように、私を
意地悪そうな顔で見てきた。



和子が何か良からぬことを思いつく時は、
決まってこの顔になる。
「……和子?」




「燐音ちゃん!!」
ふふふっ、と笑いながら近づいてくる和子。



私は、背筋が凍った。



「嫌だなぁ燐音ちゃん、私に隠し事なんて」


口調は、いつも通りだけど……


…顔がワラッテマセンヨ。


「今のって、同じクラスになった『桜宮友樹(さくらみや ゆうき)』君だね」


「……へぇ、そっそうなんだ…って、なんで知ってるの!?あの人と学校
一緒じゃ無かっよね」


この学校のイケメンは、リサーチ済みだよ
もしかしたら、運命の相手が
見つかるかもしれないし

と言う和子に
どう返していいか分からなかった5秒間


「好きなんでしょ」
いきなりこんな事を言われたので
更に固まってしまった。