「だから……ありがとな。佳乃ちゃんが分かるようになるって言ってくれてるなら、いつか本当に分かる日が来るような気がする」
私の手を愛しそうに握ったまま、有川くんはそう言った。
目の前で柔らかく伸びる目尻と唇に、自分の胸が熱くなるのを感じる。
……ああ、私、絶対今、照れてる。
とくんとくんと温かいものが全身に流れる音を聞きながら、そんなことに気付く。
――この瞬間。
私を好きだと言ってくれる有川くんのことを、初めて真剣に信じられるかも……って。
そんな気がして、繋がった手をそっと握り返した。
メニュー