吐き出す愛



「ほら、あっちの方にも行こうぜー」

「う、うん……」


 不自然さなんて全く感じさせない素振りで、差し出される手。

 いつしかそれに、抵抗なく自分の手のひらを重ねているのも事実なわけで……。

 有川くんへの嫌悪が少しずつ和らいできているのは、確かなことだった。



 ゲームセンター内ではそのあと、スロットをやってからプリクラを撮った。

 一度もやったことがないスロットは、全然マークが揃わなくて散々だった。やり方を教えてくれた有川くんは、綺麗に揃えてばかりいたけど……。

 プリクラはしぶとく嫌がって抵抗したのに、無理矢理有川くんに一緒に撮らされたんだ。

 もちろんプリクラぐらい優子と撮ったことあるわけだけど、デートもしたことない私には男の子と撮るなんて気恥ずかしいわけで。
 狭くて閉ざされたプリクラ機の中に有川くんと入ることすら、かなりのチャレンジだった。

 でも結局私の意思は無視されて、数枚の撮影に付き合わされた。


「ふはっ! 佳乃ちゃん、表情硬すぎだし!」


 出来上がったプリクラを見て、有川くんは豪華に笑い飛ばした。

 あまりにも大きな声で笑うものだから、一気に顔に熱が集まる。頭が沸騰しているみたいで、音まで聞こえてきそうだ。


「わ、笑わないでよ! 嫌だって言ったのに無理矢理撮るから、緊張して変な顔になっても仕方ないでしょう!」


 手に持ったプリクラ用紙の中の私は、確かに有川くんが言う通り硬くてぎこちない表情をしている。

 しかも1枚だけなら良かったものの、すべてのカットで同じ表情だった。