吐き出す愛



 アームには、2つのマスコットが引っ掛かっていた。ピンク色と水色。

 アームが動くたびにカエルたちはぷらぷらと不安定に揺れる。でも落ちることはなくて、無事に景品受け取りの場所にまで戻ってきた。

 “GET!”と書かれた場所に、カエルが滑り込んでくる。

 有川くんはそれを手に取ると、にっと白い歯を見せて私が希望していたピンク色のカエルを渡してくれた。


「はい、どーぞ」

「わあ! ありがとう!」


 興奮して声色が高くなる。得意とは言っていたけど、まさか本当に狙ったものを取れるなんてすごい。期待以上だ。

 初めて実際に手にするマスコットは意外とぬめりとした手触りで、ちょっとだけ戸惑ってしまう。でもこっちを見つめる瞳は、近くで見てもやっぱりとても可愛らしい。
 胸の前で大事にカエルを抱き締めて、有川くんに笑顔を向けた。


「有川くん、ありがとう! 私これ気に入った」

「ははっ、どういたしまして。俺も喜んでもらえて良かった」


 そう言いながら、水色のカエルをカバンに取り付けている。


「有川くんもそれ、欲しかったの?」

「うん、まあな。だって、佳乃ちゃんとお揃いにしたかったし。ちゃんと一発で2つ取れてラッキーだったぜ」

「えっ、あれって狙って2つ取ったの?」

「もちろん。得意だって言ったじゃん。上手かっただろ?」

「あっ……」


 手の中からするりとマスコットを取り上げられる。……かと思うと有川くんは私が肩にかけているカバンにそれをつけて、有川くんのカバンにつけられたマスコットと並べた。


「ほら、お揃い。初デートの記念なんだから外すなよ?」

「う、うん……」


 初デート、か……。
 そういえば男の子と2人きりで遊ぶのは初めてだから、これが初デートになるのかもしれない。

 相手が嫌いな有川くんだっていうのは、ちょっと心外だけど。

 でも……。