吐き出す愛



「……分かった。呼び捨てはしないけど、タメ口だけね?」


 溜め息を吐き出すと共にそう言えば、有川くんはあからさまに嬉しそうに笑った。


「おう! それだけでも十分だ!」


 繋いでいた手に、きゅっと力を込められる。
 弾けるような笑顔が、夕日でキラキラと輝いていた。

 これぐらいでそんなに喜ばなくても良いのに。これも……有川くんの女慣れならではの手口なのかな。

 私には有川くんの笑顔がとても眩しすぎて、ただ目を細めることしか出来なかった。

 私と仲良くしたがる有川くんの気持ちが、どうしても分からないんだよ……。