『吐き出す愛』を最後まで読んでくださりありがとうございました。


 どれだけ時間が経っても、忘れようとしても、それでも昨日のことのように覚えているような過去。

 それは誰の心の中にも、一つはあるのではないでしょうか。

 わたしはたくさんあります。
 辛く悲しい過去だったり、忘れたくない大切な過去だったりと様々です。

 それらをふと思い出す度に、「わたしはどうしてこんなにも過去に縛られているのだろう?」と思ったのがきっかけで、この作品を書き始めました。

 佳乃が“あの頃”という過去にこだわっていたのも、そのためですね。


 もちろんですが過去は変わりません。

 後悔したまま過ぎた時間も、終わってほしくないと思った時間も、どれだけ過去に思いを馳せても戻ることはありません。

 だからこそ、次に進む必要があるのでしょう。


 変わってほしくないことは無情にも変わっていくし、自ら変わっていかなければならないこともある。

 変わってはそれを受け入れて、また変わっては受け入れていく。
 人生ってその繰り返しだと思います。

 今の状態が自分本意のものではないと、ついつい通過点の過去にすがりたくなります。

 でも今の自分が嫌ならば、変わればいい。より良い自分に巡り会えるように、変化し続ければいい。

 わたしはこの作品を書きながら、そう思うようになりました。


 この物語がわたしや誰かの変化のための通過点になっていれば嬉しく思います。

 長くなりましたが、最後まで本当にありがとうございました。

 また、別の機会で会えることを願って。



2015/01/12

秋野桜