すると有川くんは、眩しすぎる太陽光のカーテンの中で、その光に負けないほどの明るい顔で笑った。
ざわざわと胸が騒ぎ出す。
「それは電車に乗ってから話すよ。とりあえず行こう!」
有川くんは目配せで自分に着いてくるように促した。
まだ行き先が分からない私は、渋々そのあとを追う。
有川くんは券売機で切符を購入すると、1枚を渡してくれた。
「あっ、お金……」
「いいよ、これぐらい俺が払うから。さあ、行こう」
「ちょっ、ちょっと!」
バッグのチャックに伸ばした手を、するりと有川くんに掴まれて動きを止められる。
おまけにそのまま手を繋がれてしまい、私は引っ張られる体勢で改札を通る羽目になった。
……あ、この手の繋ぎ方。
初めてデートしたときと一緒だ。
指が絡まって、私と有川くんの手はぴったりとくっついている。
久しぶりに触れた温もりと力強さに、胸の中心部が熱くなるのを感じた。
5年前に一度知っているものだけど、慣れない懐かしい感覚に緊張する。
勝手に騒ぎ出す鼓動が、何だかうるさい。
おまけに斜め後ろから見た有川くんは楽しそうに笑っているみたいで、余計に胸が高鳴った。
そしてまた、有り得ないことを期待したくなる。
ねえ、有川くん。
どんな思いで私を誘ったのか分からないけど……。
少しでも私と同じように、あの頃のことを思い出してほしいよ。
2人とも確かに“楽しい”と思っていた、あの頃のデートのことを。
そして今日も、同じ気持ちを抱いてよ。
私も今日だけは、有川くんと過ごす時間を心から楽しむようにするから……。



